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2014年11月06日

別居時の生活費について

別居時の生活費について相談されることが多いため、

今回はこのテーマについて書きます。

 

夫婦が別居した場合、離婚が成立するまでの間、

収入の多い人が少ない人に対し、生活費(婚姻費用といいます。)を

支払う義務が発生します。

 

もっとも、夫婦が別居すれば必ず生活費の支払義務が発生するのかと言うと、

裁判例は必ずしもそうは考えていません。

 

「別居の原因は主ととして申立人の妻の不貞行為にあるというべきところ、

申立人は別居を強行し別居生活が続いていたのであって、このような場合に

あっては、自分の生活費に当たる分の婚姻費用分担請求は許されず、

ただ同居の未成年の子の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるに

とどまる」(東京家裁平成20年7月31日審判)

「相手方は、Fと不貞に及び、これを維持継続したことにより本件婚姻関係が破綻したものというべきであり、

これにつき相手方は、有責配偶者であり、その相手方か婚姻関係が破綻したものとして抗告人に対して離婚訴訟を提起して

離婚を求めるということは、・・・最早,夫婦間の具体的同居協力扶助の義務が喪失したことを自認することに

他ならないのであるから、このような相手方から抗告人に対して,婚姻費用の分担を求めることは信義則に照らして

許されない」(福岡高裁宮崎支部平成17年3月15日決定)

「夫婦の一方が他方の意思に反して別居を強行し、その後同居の要請にも全く耳を

かさず、かつ自ら同居生活回復のための真摯な努力を全く行わず、そのために別居生活が

継続し、しかも右別居をやむを得ないとするような事情が認められない場合には、・・・

少なくとも自分自身の生活費に当たる分についての婚姻費用分担請求は権利の濫用として

許されず、ただ、同居の未成年の子の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるに

とどまる」(東京高裁昭和58年12月18日決定)

 

以上のとおり、裁判例は別居に至る原因がもっぱら生活費を請求する者にあり、

帰責性が認められる場合には、未成年の子の生活費はともかく、自分の生活費部分を

請求することは権利の濫用に当たると考える傾向にあると考えられます。

 

別居中の生活費についてお悩みの方は、遠慮無くご相談ください。

 

 


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