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2022年11月29日

離婚調停に提出すべき証拠-㊽財産分与・夫婦の親が夫婦の一方に対して資金提供した財産

離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。

今回は、離婚調停・離婚訴訟等に合わせて、財産分与を請求する場合で、

夫婦の財産の中に、夫婦の親が資金提供した財産がある場合について考えます。



一口に資金提供と言っても、様々なケースが考えられます。



まず、夫婦の自宅を購入するに際し、夫婦の親が資金の全部または一部を提供した場合について

考えます。



財産分与について、法律は、「・・・家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他

一切の事情を考慮して、分与させるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」と定めています(民法768条3項)。

夫婦ではなく、夫婦の親が資金を拠出した場合、「当事者双方(=夫婦)がその協力によって得た財産」とは言えない、あるいは言えない部分が

あるのではないかという事になります。



このような場合、離婚時の財産分与においては、不動産の価値(財産分与を行う時点の価値。購入時の価格ではありません。)

を、婚姻後の夫婦の収入から拠出した部分(例えば、ローン支払により減った残高分)と夫婦の親が拠出した部分(加えて、夫婦の一方が婚姻前に有していた

資金で支払った部分も、特有財産となります。)とで割合的に按分し、前者のみを財産分与の対象価値として計上するのが一般的です。



そこで、不動産の場合は、購入時の金額が分かる資料(不動産の契約書等)、購入時の資金の流れが分かる資料(親の通帳等)等を

証拠として提出することが考えられます。



次に、預貯金について考えます。

預貯金については、税金対策等で名義を借りているだけという場合もあれば、夫婦の生活の支えとして親が拠出している場合もあるなど、

様々なケースが考えられます。

ここで考えるべきは、①親が拠出した預貯金の通帳や銀行印等を誰が管理しているのかです。親が管理を継続しているという事であれば、

親の財産ではないか、という要素となり得ますし、夫婦が管理しているのであれば、夫婦の財産ではないか、という要素となり得ます。

②また、親が拠出した預貯金が夫婦の支出に使われているのか否かも考える必要があります。例えば、預貯金が、夫婦の支出(生活費の支払等)に

使われているのであれば、夫婦の財産ではないか、という要素となり得ますし、親が管理している上、夫婦の支出として使われた試しがないという事であれば、

親の財産ではないか、という要素となり得ます。

③また、親が夫婦の一方名義の預貯金に拠出した理由、経緯も考える必要があります。

例えば、預貯金に拠出した理由が、夫婦の生活を支えるため、という事であれば、夫婦に対する贈与であり、夫婦の財産ではないか、という要素となり得ますし、

税金対策で名義を借用したものであり、自分の名義で預貯金されている事すら知らなかったという事であれば、贈与ではなく、親の財産ではないかという要素と

なり得ます。なお、近時の裁判例(東京高等裁判所令和3年12月24日決定)では、夫の両親が妻名義で作成した預貯金について、夫の親が代表取締役をつとめる会社から、

妻の給与ないし役員報酬が当該預貯金に支払われたものも、当該預貯金の残高を構成しているケースについて、「相手方口座に入金されていた同預貯金は、相手方の従業員

又は取締役としての地位に基づいて支払われたものであるか、抗告人の父が相手方及び抗告人の生活の支援のため贈与等をしていたものというべきものであるから、

通帳及び届出印を父が管理していたものであったとしても、預金自体は、実質的には夫婦の共有財産として財産分与の対象とすべき財産であるというほかはない。」

と判断しています(夫側は、当該預金について、夫の父が夫婦の将来を思い振り込んだもので父の資産と主張していました。)。



また、④仮に、親ではなく、夫婦の財産であると判断される場合でも、「寄与の程度」や「一切の事情」として考慮し、分与する額を調整する必要が

生じる場合が考えられます(先の東京高等裁判所令和3年12月24日決定では、上記預金について、夫婦の財産と判断しつつも、「本件における財産分与対象財産(夫婦の

協力によって得た財産)の額には、抗告人の父母による支援の結果として形成された、夫婦の協力によって得たものとはいい難い財産が相当額含まれていることが認められる・・・。

そうである以上、相手方が求める本件の財産分与の判断においては、このような事情を「一切の事情」として考慮するのが、財産分与における当事者の衡平を図る上で

必要かつ合理的であると認められる・・・」と判断しています。)



そこで、預貯金については、資金を誰が出したのかが分かる資料(親の通帳及び夫婦名義の通帳等)や誰が管理していたのかが分かる資料(陳述書や保管している写真等)、

夫婦の支出に充てられたことがあるのか否かが分かる資料(当該預金の取引履歴や通帳の履歴等)、夫婦の一方名義の預金に親が拠出するに至った経緯が分かる資料(陳述書や過去のメール等)を証拠として提出することが考えられます。



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