家族法改正による離婚調停、訴訟への影響-②共同親権、単独親権いずれを選択すべきかの主張
家族法改正による離婚調停、訴訟への影響について解説いたします。
今回は、離婚調停、離婚訴訟において親権について対立がある場合にいかなる主張を行うことが考えられるかについて
考えます。
これまでは、親権に対立がある場合は、父母の各自が自身が親権を取得すべき旨主張する形しかバリエーションが
ありませんでした。
これに対し、改正家族法が施行された後は、共同親権の選択が可能となるため、
①従来通り、父母の各自が、自らを単独親権者として指定すべきである。
②一方は単独親権を主張し、他方は共同親権を主張する。
③双方が共同親権を主張する。
の3パターンが考えられることになります。
なお、③の場合は対立がないように見えますが、例えば、共同親権に争いはないものの、普段から子が居住する場所を
父母どちらの家とするのかにつき、対立が生じる等、誰がどのような監護を行うのか対立が生じる場合が考えられます。
では、改正家族法は親権を考えるに当たり、どのような事情を考慮すべきとしているのでしょうか。
この点、改正民法819条7項前段は、「裁判所は、・・・父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを
判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母の関係、その他一切の事情を考慮しなければならない。」
と定めています。
従って、離婚調停、訴訟において、②のパターンで対立がある場合には、
「父母と子との関係、父と母の関係、その他の事情から、単独親権、共同親権のいずれを選択するのが子の利益に適うのか」
という観点で主張、立証する事が求められると言えます。
例えば、父と母の関係については、父母が同居中に事あるごとに喧嘩しており、まともに話し合いが出来ていない等の事情を、
共同親権を選択するのは適切ではないのではないか、という方向に働く事実として主張、立証することが考えられます。
父母と子との関係であれば、同居中に父母の一方が子をネグレクトする等の事情を、共同親権を選択するのは適切ではないのではないか、
という方向に働く事実として主張、立証することが考えられます。
その他の事情としては、例えば、父母の一方が、子の授業料の負担を求めても、合理的理由がないのに一切負担しないなどの事情を
共同親権を否定する方向の事情として主張、立証することが考えられます。
なお、改正民法819条7項後段では、更に、そのような事情が認められる場合には、裁判所は共同親権を選択してはならない場合を
定めています。この点については次回、解説いたします。
離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績に基づき、お客様と一緒によりよい解決を目指します。