財産分与と損害保険金
交通事故などの損害保険金は、様々な費目で構成されています。
具体的には、入通院期間に対応した傷害慰謝料、後遺障害が残った事に対する後遺障害慰謝料、
後遺障害が残ったことにより、収入が得られなくなった、あるいは特別の努力により収入が維持されている
場合等の後遺障害による逸失利益などです。
この点、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料については、事故により負傷し、入通院治療を受け、
後遺障害が残ったことにより、被った精神的苦痛を慰謝するためのものであり、配偶者の寄与が
存在しな ...
審判時の注意点
婚姻費用、養育費などについては、調停が不成立となった場合、
裁判官が結論を決める、「審判」という手続に自動的に移行します。
審判は、調停のように当事者の合意によるものではなく、
裁判官が当事者の提出した主張、証拠に基づき判断するものです。
このため、調停段階で、主張を口頭で述べるにとどめ、書面で提出していない
場合や、主張書面は出しているものの、裏付け資料(例えば、お子様に授業料がかかるとした場合の、
授業料の金額の分かるパンフレットや、自動振替のな ...
親権を一度取り決めた後の親権者の変更について
時々、離婚を早く成立させたいとのお考えから、親権を相手方として離婚を成立させ、
その後、親権者の変更を相談されるケースがあります。
親権者の変更については、親権者が頻繁に交代すると混乱を招くことから
(お子さんにとっても環境が変わることとなります。)、ハードルを高く設定して運用されているという
実感があります。
親権者を最初に決める段階では、これまでどちらが主に子の監護を行ってきたのか
(事実上の監護者が誰か)や、お子さんが幼少の場合の母性優先の原則 ...
「退職金」がない場合の財産分与の注意点
退職金も、離婚する際の財産分与の対象となることは、
比較的、多くの方がご存知なのではないかと思われます。
しかし、退職金の支給制度については、企業規模や業種等により、
存在しない会社も多いのが実態です。
退職金を退職時にまとめて支払う、従来の形の制度をとると、
会社の負担が大きくなってしまうこ事もその理由の1つかと思われます。
このような理由から、退職金の支給がない場合でも、「企業年金」制度を設けている
事があります。 ...
調停時の注意点
調停は、裁判所を利用した話し合いの1つであり、離婚事件の場合、
訴訟をいきなり起こす事はできず、まず調停を経る必要があります。
調停では調停委員2名が当事者双方の主張をきき、合意点を探ります。
調停委員の背後には裁判官がいるため、ある程度は法律に則った解決が期待できます。
しかし、調停とはいえ、裁判所を利用した手続ですので、裁判所がどちらか一方に肩入れする事が
できません。
また、訴訟ではないため、法的な通りやすさや立証の程度などをあま ...
よくある誤解-養育費の減額
養育費を取り決めるにあたり、義務者が再婚し、新たに子が出来た場合、
権利者の養育費に影響する、という解説がなされることがあります。
これは、元々の子と離婚後に新たに再婚相手との間で子が出来た場合に、
子2人の間に扶養義務の優劣がない、という事によります。
では、義務者が再婚したのみの場合には、養育費の額に影響しないのでしょうか。
この点は、大阪家庭裁判所作成のQ&Aによると、義務者が再婚した場合、新たな配偶者に対する
扶養義務が発生する事を前提に、権 ...
日弁連の婚姻費用・養育費の新算定表について
日本弁護士連合会は、平成28年11月に、
「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」を公表しております。
新算定表と呼ばれており、内容的には、裁判所で従来から使われている算定表よりも、義務者の
支払うべき金額が大幅に上がる内容となっております。
この点については、上記提言がなされてからも、裁判所の調停で使われている算定表は、
現在も従来のままであり、今のところ、新算定表を採用しようという動きは裁判所にないものと
見られております。 ...
よくある誤解ー審判前の保全処分
離婚調停では、離婚の他、財産分与などを取り決めるのが通常ですが、
調停を行い、結論が出るまでの間に、例えば相手方が夫婦財産を移転してしまう危険がある場合に、
保全処分を申し立てることが考えられます。
この点、審判前の保全処分は法律が改正される前は、調停段階では利用できず、審判を申し立ててからでなくては
利用することができませんでした。
しかし、法律が改正され、家事事件手続法となった現在では、財産分与請求権などを保全するために、
審判前の保全処分を調停 ...
年金分割でよくある誤解
離婚を行う際に、相手方が厚生年金等をかけている「第2号被保険者」の場合に、
年金分割を請求することが多いかと思われます。
この年金分割には、請求する側が第2号被保険者の被扶養者である「第3号被保険者」の場合に
利用される「3号分割」という方法があります。
この場合には、合意等は不要であり、請求すると当然に分割されるため、調停等は不要となります。
分割の際の按分割合は0.5のみとなります。
これに対して、分割の際の按分割合を、当事者の合意で決める「合意 ...
示談と調停のどちらを選択すべきかについて
日本では、離婚に争いがある場合でも、いきなり訴訟を行うことは出来ず、
まずは調停を起こさなくてはならない、とされております。
他方で、調停から始めるのか、調停の前に示談を行うかについては、自由とされています。
では、示談から始めるのと、調停で始めるのとではどちらがよいのでしょうか。
当事務所では、経験上、「急がば回れ」で、「調停から始める事がよい事が多い」と考えております。
依頼を受ける弁護士にとっては、示談よりも調停の方が手間がかかる事が多いですが、
当事務所で ...