
家族法改正による離婚調停、訴訟への影響-⑥子の氏の変更
家族法改正による離婚調停、訴訟への影響について解説いたします。
今回は、離婚調停、訴訟等で共同親権を定める場合の子の氏の変更について考えます。
新法施行前の離婚の場合、単独親権しか選択できません。
このため、離婚後のお子様の氏(姓)についても、親権を取得する親が決める権限を持ちます。
離婚後、親権を取得した親は、他方親の同意を得ることなく、子の氏の変更の許可の申立てを家庭裁判所に行い、
子の氏の変更の許可の決定書を市役所に提出し、子を自身の戸籍に入れることができます。
(なお、子の氏の変更の問題は、婚姻時に相手方の戸籍に入った方が親権を取得する場合全般に当てはまり、
離婚に際して旧姓に戻る場合だけでなく、婚姻後の姓を続称する場合にも必要です(離婚する夫婦は、続称する場合でも別戸籍であるため、続称により同じ姓に見えても法律上は別の姓と考える事によります。)。
これに対し、新法施行後の離婚の場合で、共同親権を選択した場合、
親権者が単独で行う事ができるのは、日常的な行為(食事、服装の決定や短期間の観光目的の旅行、習い事等)のみであり、
日常行為以外の重要事項については、親権者で協議して決定する必要があります。
子の氏の変更は、子の身分に関わる行為(身分行為)であり、重要性が高く、日常行為には該当しないことから、
離婚後、子の氏の変更を行う場合、親権者同士で協議して決定する必要があります。
この点、離婚を行い、共同親権を定めるに際し、離婚後、子の氏について、夫婦で意見が合致している場合はあまり気にする必要は
ないかもしれませんが、夫婦で意見が対立している場合、離婚調停、訴訟、審判において、「特定事項に係る親権行使者指定」の申立てを
合わせて行う事が考えられます。
「特定事項に係る親権行使者指定」とは、共同親権の場合に、日常行為に属しない重要行為のうち、ある特定された事項に
限って、その事項について共同親権者のどちらが決定する権原を持つ事とするのかを決める事を指します。
特定されている事が必要であり、例えば、「教育に関して」等と抽象的、包括的な申立てを行うことは出来ないと考えられています。
(「高校との在学契約の締結及びこれに付随する事項」などと特定する必要があります。)。
離婚調停、訴訟、審判において、子の氏の変更について親権行使者指定の申立を付随的に求めることで、離婚後の子の氏をどちらとするか(正確には、
続称の場合もあるため、どちらの戸籍に入る事とするか)について夫婦間で対立がある場合に、決定権を持つ親権者を先回りして決めることで、
離婚後に子が不利益を蒙らずに済む事が可能となります。
ただし、親権行使者指定は、家庭裁判所の調停、訴訟、審判での指定が必要であり、夫婦間の合意書であるとか、公正証書を用いて
取り決める事はできない(取り決めたとしても、無効)である点に注意が必要です(共同親権にする事に争うがないものの、子の氏について対立が生じる事が想定される事案については、協議離婚ではなく、調停離婚を申し立て、合わせて子の氏の変更についての親権行使者指定の申立てを行うか、一旦、協議離婚で共同親権を定めた上で、
これとは別に、子の氏の変更についての親権行使者指定の申立てを行うかのいずれかの対応が必要となると考えられます。
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