離婚調停に提出すべき証拠-62 婚姻費用の増減額請求と事情変更(時間の経過)
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、少し特殊ですが、離婚調停と合わせて、一度決まった婚姻費用額の増減額の調停を申し立てた場合に
提出すべき証拠について考えます。
一度、調停・審判等で決まった婚姻費用や養育費の増減額の請求を行うには、
調停・審判で金額を決めた時点では予測できなかった事情の変化が必要であるとされている事は
ご存知の方も多いかと思われます。
事情の変化としては、当事者のいずれかの収入の大幅な変化(失業等)や、子が大学進学等を行った場合などが
考えられます。
では、上記のように、大幅な事情の変更がなければ、婚姻費用や養育費の増減額の請求を行うことは一切できないのでしょうか。
この点は、事情の変更が要求される趣旨を考える必要があります。
その趣旨は、一度、婚姻費用や養育費を決めた以上、多少の変化が生じただけで、度々金額を決め直すのは
煩雑であるし、一定の幅の範囲の事情の変化であれば、多いときも少ない時もあることとなり、新たに決め直さなくても
当事者の公平を害することもない、という点にあります。
裏を返すと、一度、婚姻費用や養育費を調停や審判で決めたものの、それから年数がある程度経過した場合、
年数の経過それ自体が事情の変更に当たると評価することも可能ですし、度々決め直すのが煩雑という事態にもなく、
かえって、年数がある程度経過した時点で、その時の資料に基づいて決め直す方が当事者の公平にも適うと言えます。
具体的に何年経過すればよいのかを示すことは困難ですが、1、2年程度の経過では、他の事情の変化がない限り、難しいように
思われます。(なお、松本哲泓著、新日本法規刊「婚姻費用・養育費の算定-裁判官の視点にみる算定の実務-」196頁では、
再婚した事を事情の変更として主張する場合について、合意から2年を経過して再婚した事案について信義則違反を認めたものは少ない、
と解説されています。再婚するか否かは当事者の意思を最優先する事柄である事によります。)
調停では、元々の婚姻費用額や養育費額がいつ取り決められたものなのかを示すため、
当事者間の合意書や調停調書、審判書(及び確定証明書)を証拠として提出することが考えられます。
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