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2023年08月03日

離婚調停に提出すべき証拠-63 財産分与・法人に損害賠償債務の有無や夫婦の貢献度の争いがある場合

離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。

今回は、離婚調停や訴訟において、離婚請求に付随して、財産分与の請求がなされている場合で、

夫婦共有財産の中に、法人の持ち分(株式等)が含まれており、当該法人に損害賠償債務の有無の争いが

生じている場合について考えます。

 

夫婦の離婚時の財産分与の対象は、夫婦個人の財産に限定されます。このため、夫婦の一方または双方が、

法人を運営している場合でも、法人の財産は原則として財産分与の対象に含まれません。

しかし、法人を設立する際の出資を夫婦の収入や夫婦共有財産から行っている場合は、法人の持ち分(株式等)が

夫婦個人の財産となり、結果、これが財産分与の対象に含まれることとなります。

 

法人の持ち分に時価が存在する場合は、これによります(典型例が上場株式)。

問題は、非上場会社等の場合、持ち分をいくらと評価するかが問題となります。

この場合、通常は、公認会計士等が、法人の規模や業務の内容等に応じてもっとも適切な評価方法を採用して

具体的な評価額を算定することで解決が可能となることが多いです(事件により、夫婦双方が鑑定を行い、評価方法として

何を採用すべきかが争いになる事もあります。)。

 

問題は、非上場会社等の場合で、当該法人に対して、第三者から損害賠償請求がなされている場合や法人が

第三者に対して損害賠償請求を行っている場合等です。

損害賠償請求の中身及び金額自体に法人、第三者の間で争いがない場合は、これを法人の負債ないし債権として考えた上で、

評価すれば足りることとなります。

対して、損害賠償請求の中身を争われている(責任自体を争う、金額を争うなど)場合、法人の持ち分の評価が困難となる

ことが考えられます。

 

この点、最高裁令和4年12月26日判決では、夫婦共有財産の対象に、医療法人の持ち分があり、当該医療法人が妻に対し、

横領を理由として損害賠償請求の訴訟を提起し、損害賠償請求について争いが生じている事案につき、東京高等裁判所は、

上記損害賠償訴訟が係属していることを理由に、現段階で妻の医療法人に対する貢献度を直ちに推し量って財産分与の割合を定めることを

相当としない特段の事情がある、として、持ち分以外の財産についてのみ、財産分与の判断を行ったのに対し、最高裁は、「離婚請求に附帯して財産分与の申立てが

なされた場合において、裁判所が離婚請求を認容する判決をするに当たり、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして

分与を求める財産の一部につき、財産分与についての裁判をしないことは許されないものと解するのが相当である。」と判示しました。

 

法人に争いがある損害賠償請求等が存在する場合でも、法人の持ち分の評価自体は、鑑定により可能と考えられます。

(損害賠償請求に理由があると考える場合、理由がないと考える場合で、評価額にどの程度の影響が生じるかについても鑑定を

行った上、請求に理由があると考える立場、ないと考える立場で主張、立証を行い、これらを踏まえて評価額を決定すること自体は

可能と思われます。)

また、上記判例の事案のように、貢献度が問題となる場合でも、同様に、貢献度に影響すると考える立場、ないと考える立場が

それぞれ主張立証を行うことで、結論を出すことは可能と思われます(出資金の原資が夫婦共有財産であることを示す、預貯金等の資料や、

法人自体に貢献があることを示す、陳述書(法人における具体的な役割、仕事等)、具体的な役割を担っていたことを示す職務のメールや、自己が作成した

第三者への提出資料(受発注書や経理関係の書類等)その他の記録等を証拠として提出することが考えられます。)。

 

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