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2020年04月09日

離婚事件における仮差押等の保全処分について

訴訟で判決を得るまでの間に、相手方が財産を隠したり、処分するおそれがあり、

判決を得ても訴訟の目的が達成できなくなるおそれがある場合に、不動産、動産、債権などについて

仮差押ができることは比較的知られているかと思われます。

 

それでは、離婚事件において保全処分の利用はどのように行うことが可能でしょうか。

 

まず、離婚が成立する前の段階についてかんがえます。財産分与や離婚せざるを得なくなった事による離婚慰謝料などは、

離婚訴訟において、離婚請求に付随して申し立てることができます。

このように、離婚訴訟に付随して申し立てることができる請求権については、「民事保全」の制度を利用し、

仮差押の申立を家庭裁判所(正確には、離婚訴訟を管轄する家庭裁判所または、仮差押の対象物のある場所を管轄する家庭裁判所)

に申し立てる事が可能です。

なお、「審判前の保全処分」という言葉を聞かれており、これが利用可能ではないか、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、

審判前の保全処分の申立を行うには、審判の申立が必要となります。離婚慰謝料は、訴訟で確定させる必要があるため、

それ自体、審判の申立ができません。また、離婚に伴う財産分与も、離婚が成立して初めて審判の申立が可能となるものであるため、

離婚が成立する前の段階では財産分与の審判を申し立てることができません。

従って、離婚成立前に財産分与や離婚慰謝料を保全するために、「審判前の保全処分」を利用することはできず、

「民事保全」の申立を行う必要があります。

 

対して、離婚成立後の段階の場合、財産分与の審判を申し立て、合わせて「審判前の保全処分」の申立を家庭裁判所に

行うことが可能です。離婚慰謝料請求権を保全する場合、地方裁判所に「民事保全」の申立をすることとなります。

離婚成立後に、財産分与請求権を保全するために「民事保全」ができるかですが、法律は、人事訴訟を本案とする民事保全処分は

可能とされていますが、離婚成立後の場合、離婚成立前と異なり、「本案の人事訴訟(=離婚訴訟)」が存在しないこととなるため、

財産分与の審判を申し立て、合わせて「審判前の保全処分」の申立を家庭裁判所に行うより他はない、という事になります。

 

なお、いずれの保全処分を利用する際も、裁判所は、保全命令を出す場合、申立人側に「保証金」の積立を要求します。

これは、判決、審判等で結論が出る前の段階で、相手方の財産の処分を禁止するものであるため、相手方に損害を与える危険が

あることから、これを担保するためのものです。離婚に伴う財産分与請求権を保全する場合、一般的には仮差押を行う

対象物の価値の15~20%程度となることが多いと言われていますが、申立人の主張にかかる請求が認められる蓋然性が証拠等から明らかであれば

金額は少なく済みますし、不透明な部分が多ければ多いほど、金額は高くなります。

 

また、離婚成立前に、財産分与請求権を保全するために仮差押を行うには、財産分与請求権の具体的な内容、金額を

できる限り明らかにする必要があるだけでなく、離婚訴訟において離婚自体が認められる蓋然性があることが要件となります。

およそ離婚原因が認められないようなケースの場合、保全命令は却下されることとなってしまいます。

このため、離婚成立前の段階で、財産分与請求権を保全するために保全申立を行う場合、離婚原因として明確なものがあり、

証拠上明らかであることを積極的に主張、立証(ただしくは疎明)する必要があります。

 

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