離婚時の財産分与の諸問題-ペットの取扱い
離婚調停や離婚訴訟において、財産分与を合わせて請求の対象として加えて
手続を行う事が多いかと思われます。
今回は、財産分与において、ペットが存在する場合にどのように考えるかについて、
解説いたします。
ペットは、法律上、家具などと同様、「動産」と位置づけられ、財産権の対象となり、
一般論としては財産分与の対象となり得ます。
もっとも、離婚時の財産分与における財産は、通常、財産的価値(=市場価値)があるものを対象と
考えており、ペットは一度 ...
離婚調停に提出すべき証拠-㉝財産分与・基準時以降に生じた事情
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、離婚調停に付随して、財産分与を求める場合で、財産分与の基準時以降に生じた事情を
財産分与の結論に影響させる場合について考えます。
まず、前提として、離婚の際の財産分与の基準時、すなわち、いつの時点に存在した夫婦財産を財産分与の対象と
するかについては、実務上、離婚に向けた別居を開始した時点あるいは、離婚調停等を申し立てた時点とする事が多いです。
離婚に向けた別居を開始した場合や離婚調停等を申立てていた場合でも、その後も、 ...
離婚調停に提出すべき証拠-㉜財産分与・配偶者以外の者の名義となっている財産
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、離婚に付随して、財産分与を請求する場合で、対象財産として、配偶者以外の者の名義の財産を
主張する場合について考えます。
離婚の際の財産分与の対象となる財産は、夫婦で形成してきた財産です。
この点、夫婦で形成してきたものの、名義が第三者名義となっている場合があります。
例えば、配偶者の親が経営する個人事業に、夫婦が揃って家業として従事していた場合、
配偶者が給料をもらっている事もありますが、他方の配偶者は、無給で働 ...
離婚調停に提出すべき証拠-㉛相手方が財産の開示に非協力的である場合
離婚調停に提出すべき証拠をここでも解説いたします。
今回は、離婚に付随して、離婚にともなう財産分与を請求する場合で、
相手方が財産の開示に非協力的である場合について解説いたします。
離婚の際の財産分与の対象財産については、財産分与の対象となる財産が存在すると主張する側が、
当該財産の存在や金額を立証する必要があるのが原則です。
このため、夫婦の一方が、他方の財産も含めて管理を行ってきた場合は、相手方の財産の資料も含めて、
離婚調停、訴訟等に証拠として提出することが ...
離婚調停に提出すべき証拠-㉚財産分与・就労の仕方による分与割合の修正
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、離婚調停において、離婚に伴う財産分与の請求を合わせて行う場合で、
財産分与の割合を原則の50:50ではなく、分与割合を修正する要素として、
就労の仕方の違いを主張、立証する場合について考えます。
離婚時の財産分与の分与割合は、例え夫婦の一方が専業主夫ないし専業主婦である場合でも、原則として50:50と
判断されることはご存知の方も多いかと思われます。
もっとも、夫婦の一方の就労の仕方が特殊で、その就労の仕方によっ ...
離婚調停に提出すべき証拠-㉙養育費・年金収入
離婚調停に提出すべき証拠をここでも解説いたします。
今回は、離婚調停の中で、養育費についても請求する場合で、
夫婦のどちらかに年金収入がある場合について考えます。
離婚成立までの間の生活費である、婚姻費用分担調停・審判にも共通する話です。
養育費や婚姻費用を定めるに当たっては、裁判実務上、いわゆる「算定表」を利用するのが
通常ですが、当該算定表の基礎となる収入は、給与収入または事業収入をもとに算定表が作られています。
給与収入の場合と異なり、年金収入の場合、職業費 ...
離婚調停に提出すべき証拠-㉘婚姻費用・相手方による預金等の引き出し
離婚調停に提出すべき証拠を今回も解説いたします。
ここでは、離婚調停に合わせて、婚姻費用分担調停を申し立てた際に、
別居に際して相手方が預金等を引き出した場合について解説いたします。
別居以降に相手方が、当方の預金から引き出しを行った場合等は、当方の預金から
相手方の携帯利用料などが引き落とされた場合と同様、婚姻費用の既払金に充当する事には
通常、争いはありません。
対して、別居に際して、あるいは別居以前に相手方が当方の預金から引き出しを行った場合な ...
統計から考える、離婚調停の動向
令和2年度までの離婚調停や婚姻費用分担調停などの家事調停の統計が示されています。
これを見ると、離婚調停などの婚姻中の夫婦間の事件については、
全国で平成30年4万4055件、令和元年4万3492件、令和2年4万1037件と
若干、減少傾向にありますが、新型コロナウイルス感染拡大等の影響もあるかと思われますので、
今後も続くのかは分からないところです。
また、令和2年度について、離婚調停などの婚姻中の夫婦間の事件については、46.1%が調停成立、
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運用の改正-離婚調停における電話会議・神戸家裁姫路支部の場合
離婚調停では、代理人として弁護士が選任されている場合でも、
原則、当事者本人の出頭が必要と考えられています(手続自体が進まない訳ではありませんが、
調停委員が直接、当事者に質問する事もあるため、来ていただく必要があると裁判所は考えています。)。
もっとも、遠隔地である等の場合に、裁判所への現実の出頭を要するとすると、交通費や労力がかかり過ぎるという問題が
あります。このため、離婚調停の手続代理人として弁護士が選任されている場合、弁護士の事務所と裁判所を電話会議で繋ぐことが
認 ...
法改正の動き-離婚調停、離婚訴訟におけるウェブ会議の利用
現在の法律では、離婚調停で、離婚を成立させるには、必ず当事者本人が
裁判所に出頭し、裁判官が本人確認をした上で、調停条項を読み上げた上で、双方当事者が
その内容で構わない旨、述べなければ、離婚調停が成立できない事となっています。
(この事は、本人が弁護士に手続代理人として委任している場合も同様であり、代理人弁護士が出頭するだけでは
足りません。)
これまでも、離婚調停を成立させる以外の途中の調停期日については、ウェブ会議の利用を認めたり、遠隔地で出頭が困難である場合や ...