婚姻費用に関する離婚解決事例集|姫路市の離婚に強い【城陽法律事務所】解決実績300件以上

城陽法律事務所の離婚解決事例集

当事務所が過去に解決した事例の一部をご紹介いたします。
是非ご参考になさってください。

お金について

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171

2000万円弱の財産を取得し、これとは別に40万円弱の養育費の支払を受ける形で離婚調停が成立した事案

相談者
性別:女性
年代:30代
姫路
解決内容

財産分与として、2000万円弱の財産を取得する事とした他、
養育費として月40万円弱の支払を受ける形で離婚調停が成立しました。

結果・所感

相手方は、自身の収入が婚姻費用の算定表上の上限を超えていることから、
相手方の収入はこれより上であっても、上限の範囲とすべき旨、主張していましたが、
これに対し反論を行い、結果、算定表の上限に限定されず、婚姻費用の支払を行っていただく事ができました。

ワンポイント解説

婚姻費用、養育費を定めるに際しては、裁判所が作成した、「算定表」に当てはめて
月額が考えられることが裁判実務上、多いことは、ご存知の方も多いかと思われます。

ところで、当該算定表では、給与所得者の場合、2000万円、事業者の場合、1567万円までの表となっており、
夫婦のいずれかの収入がこれを上回る場合に、上記金額に限定して考えるべきではないかが論点となる場合があります。

この点については、様々な考え方がありますが、婚姻費用と養育費では考え方を分けることが考えられます。

すなわち、婚姻費用については、夫婦双方の収入に応じて、生活費を考える事となり、収入の多い方が、自身の収入を前提とした
自身と同様の生活を相手方にさせる義務を負うこととなるため、収入が多ければ、それだけ相手方に払うべき金額も多くなるのではないか、
との説明が考えられます。

対して、養育費については、教育費には自ずと限界があると考えられることから、収入についても、限界があるのではないか、との説明が
考えられます。

離婚について弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所までえん
豊富な解決実績に基づき、お客様と一緒によりよい解決方法を考えます。

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170

夫婦の一方が海外に単身赴任している中、婚姻費用を定めるに当たり、海外赴任前の収入を用いて算定し、調停が成立した事案

相談者
性別:男性
年代:40代
海外
解決内容

夫婦の一方が国内、他方が国外に住んでいるところ、国外に単身赴任した後、収入が増えたものの、国外に単身赴任する前の収入を用いて
婚姻費用を取り決め、調停が成立しました。

結果・所感

上記の通り、単身赴任に伴い収入の増加が認められたものの、これを用いず、その1年前の国外に単身赴任する前の収入を用いることとして、
婚姻費用を取り決め、調停が成立しました。

ワンポイント解説

婚姻費用や養育費を定めるに際しては、夫婦双方の収入が基準となる事や、
裁判所が婚姻費用や養育費を定めるに際しては、いわゆる「算定表」を用いて算定されることを
ご存知の方も多いかと思われます。

問題は、夫婦の一方が海外で生活を行い、収入を得ている場合です。
裁判所が用いる「算定表」は、「日本で」収入を得た場合に、収入に応じて、住居関係費や食費、教育費、交通費、交際費、
通信費、保健医療費、保健掛け金などが統計上、月いくら程度使われているのかを勘案して、作成されています。

従って、前提となる住居関係費、食費等の金額は日本のものであるため、日本と物価の異なる外国で生活を行っている場合、
そのままスライドできない、という問題が生じます。

また、大手の会社に勤務し、海外赴任となった場合、このような物価の違いや海外赴任に伴う危険性等を考慮し、種々の手当が
支払われる等して、結果的に、海外赴任前よりも、額面のみをみると、収入が上がっているように見える場合も考えられます。

本件では、海外赴任を理由とした種々の手当の支給があった一方、これを差し引くと、海外赴任する前の収入とほぼ変わらないこと、
婚姻費用の支払を行うこととなる当方側が高収入であるのに対し、相手方が比較的低収入であったため、
物価の違いを考えたとしても、それほど婚姻費用額に差が出ない見通しであったことなどから、
上記の通り、簡易に、海外赴任前の収入を用いて、日本の算定表に当てはめて婚姻費用を算定する形で調停が成立しました。
なお、物価の違いを反映するには、当該外国の様々な生活に関する統計資料を証拠で提出する(日本語で翻訳も必要)ことが必要となります。

離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
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168

夫婦双方が住宅ローンの連帯債務を負い、自宅を共有している事案で、相手方が借り換えを行い名義を全部取得し、その他の財産を各自がそのまま取得する形で裁判上の和解により離婚が成立した事案。

相談者
性別:女性
年代:40代
姫路
解決内容

夫婦双方が住宅ローンの連帯債務を負っており(いわゆるペアローン)、自宅不動産も夫婦で共有している事案で、
相手方が当方の借りている住宅ローンを借り換えることを前提に、不動産の当方の共有持ち分を取得し、
その他の財産については、お互いが自身で管理している財産をそのまま取得し、調整を行わない形で、裁判上の和解による
離婚が成立しました。

結果・所感

当方が子を連れて別居を行い、相手方が自宅に居住し、当方は不動産取得を希望しないことから、
相手方が不動産を取得することを前提に、相手方がローンを借り換え、不動産の持ち分を全部取得する形で
財産分与をまとめることとし、上記の通り、和解が成立しました。

ワンポイント解説

離婚の際、財産分与において、自宅不動産やそのローンが残っている場合に、解決が難しくなることが
あります。

特に、本件のように、夫婦が互いに連帯債務を負っている場合などは、相手方が不動産を全部取得するのであれば、
こちらのローンも相手方が引き継ぐべきではないか、という問題が生じます。

本件では、元々、相手方が負っているローン額に、新たに相手方が引き受けることとなる当方のローン額を加えても、
相手方の収入や年齢からすれば、返済可能と金融機関が判断し、金融機関の仮審査、本審査を相手方は通すことができ、
上記のとおり和解することができました。

時々、「離婚に際して、夫婦の一方のローンを他方が借り換える形の融資は前例がなく、受けられない」などと回答する金融機関があるようですが、
実際に、当職自身、上記のような借り換えによる解決を図った事案は多数存在します。某銀行のホームページにも、離婚の際に、不動産、ローンが残っている場合の
解決の方法として、このような借り換えを方法として説明しています。

金融機関からすれば、調停や訴訟上の和解の場合、裁判所の関与の下、合意に達してる事になるため、真に離婚を行い、財産の清算を行っていることが明らかであり、
モラルハザードの問題等も生じにくく、金融機関側のリスクは、手続的に少ないと言えます(この場合でも、年齢や借り換える金額、収入、他の負債などによっては、経済力の
観点から借り換えができない場合はあります。)。

また、離婚を行う夫婦にとっても、自宅を渡す側からすれば、
借り換えを行うことにより、その後、不動産を取得した側が、ローンを支払えない事態に陥った場合でも、これに巻き込まれずに
済みますし、自宅を取得する側にとっても、借り換えを行わない場合、負債の名義はそのままとなるため、夫婦間では、所有権移転時期を離婚成立時としても、
所有権移転登記を行う時期は、ローン完済時とする事が多いため、ローンを完済するまでの間に、自宅を渡した側が破産等を行い、自宅を維持できなくなるリスクを無くすことが
できるメリットがあります。

本件では、当方のローンを相手方が引き継ぐ事により、結果的に、相手方の財産より当方の財産の方が金額が大きくなるため、
財産分与として一定の支払を当方が相手方に行う必要が計算上、あったところ、この点は交渉により精算を行わない形で
合意することができました。

なお、このように借り換えによる解決を図る場合、
①借り換えによる解決を提案し、方向性を双方が合意する。
②自身の収入により、借り換え可能か、金融機関の仮審査を申請し、合格する。
③その他の財産分与や慰謝料、養育費等の各争点について、金額、支払時期等の合意をする。
(加えて、借り換えに伴う手数料や登記費用を誰が負担するのか、借り換え及び登記手続は、離婚調停や和解が成立した後となるため、時間差が生じることから、
この間、ローンの支払をどちらが行うのかや、固定資産税は1月1日の所有者にかかり、1年の間に数期にわたり支払時期が到来するため、支払時期が来ていないものについて
どちらが負担するのか等、細かく取り決めを行う必要があります。)
④本審査を申請し、合格する。
⑤調停や和解を成立させる。
⑥借り換えには、夫婦双方や借り換えを行う金融機関の担当者(借り換え前、後のいずれも。)、司法書士が
一同に会して決済を行う必要があるため、日時を調整し、決済を行い、借り換えを実行し、登記の移転手続を行う。
という流れを採る必要があります。

このように、細かい調整が必要であるため、自宅ローンの借り換えによる解決を目指す事案については、
借り換え事案の経験が豊富な弁護士に離婚調停や裁判を依頼されることも検討いただくとよいかと考えます。

離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績に基づき、お客様と一緒に、よりよい解決を図ります。



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166

めぼしい財産がない中、解決金400万円の支払を受け、養育費月17万円の支払を受ける事を骨子とした離婚調停が成立した事案

相談者
性別:女性
年代:30代
姫路
解決内容

婚姻期間が短く、めぼしい財産がない中、400万円の解決金の支払を受け、
養育費月17万円の支払を受ける内容で、離婚調停が成立しました。

結果・所感

別居がいつから始まったか及び、別居に至る原因、経過等について双方に
争いがある中、当方は、一定の解決金の支払を受けなければ、離婚に応じることが
できない旨、示しました。
当初、相手方は、100万円程度の解決金しか提示しませんでしたが、交渉の結果、
400万円の解決金の支払を一括で受けることができました。
これとは別に、養育費月17万円の支払を20歳まで受ける事を内容とする他、
離婚成立までの婚姻費用についても、子の出産費用の半額の支払を受け、かつ、月29万円の婚姻費用の
支払を受ける形で合意に至りました。

ワンポイント解説

離婚が認められるには、夫婦双方が合意するか、一方が同意しない場合は、
法律上の離婚原因が必要となることは、ご存知の方も多いかと思われます。

本件では、夫婦双方に、暴力や不貞行為などの事情が認められないため、
主に、別居期間が離婚原因として重要な意味を持つと考えられました。

当方としては、暴力等の帰責事由がみとめられない以上、5年程度の別居期間が必要として、
離婚を早期に成立させる事で、相手方は、婚姻費用から子の生活費である養育費に月々の支払が下がる点を捉えて、
5年分の婚姻費用と養育費の差額の支払いを解決金として行うべき旨、主張しました。

最終的には、約4年分の差額である400万円の支払を受けることが可能となりました。

その他、別居中に、当方が出産に至ったことから、出産費用の半額の負担の支払を受け、
また、出産以降は、子を1人監護していることを前提とした婚姻費用と考えるべき旨、主張し、月29万円の婚姻費用の
支払を受けることができました。

離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績にもとづき、お客様と一緒によりよい解決方法をかんがえます。

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165

別居中の相手方が高収入かつ不貞行為の存在が認められる中、婚姻費用の算定において、住居関係費の控除を行わず、かつ、私学費,塾代に関する特別の経費加算が審判で認められ、月額30万円を超える支払が命じられた案

相談者
性別:女性
年代:50代
姫路
解決内容

別居中の相手方が高収入かつ不貞行為が認められる中、
相手方が当方居住の自宅のローンを支払っているものの、当方の収入に対応した統計上の標準的な住居費を
差し引くべきとの相手方の主張を排斥し、かつ、子の私学費用及び塾代について、月々の婚姻費用の標準額に特別の経費として
加算すべき旨の当方の主張が審判で認められ、月30万円を超える婚姻費用の支払を命じていただくことができました。

結果・所感

上記の通りであり、月30万円を超える高額の婚姻費用の支払を審判で命じていただくことができました。

ワンポイント解説

離婚成立または別居解消までの間の生活費である婚姻費用を取り決める際には、
様々な論点が生じます。

本件では、相手方が、当方居住の自宅ローンの支払を行っている(+当方が一部持ち分を有する)ため、
婚姻費用の基本月額から、算定表、考慮済みである統計上の標準的な住居費の負担を当方が免れていると見て、
統計上の住居費を差し引くべきかが問題となりました。

この点は、①別居に至った主たる原因が、住宅ローンの支払を行っている者の不貞行為、暴行等による場合、
住居費相当額を差し引くべき旨、主張することは、信義則違反ないし権利濫用に当たり、許されないと考える立場が、
裁判実務上、有力です。また、②相手方に不貞行為や暴行等が存在しないケースであっても、婚姻費用の支払を受ける側の
収入が低額である場合、低額の収入から住居費を負担できるはずもないため、やはり、婚姻費用の基本月額から統計上の住居費相当額を
差し引くことは適切ではない、との考え方が有力です。

これは、元々、別居以降の住宅ローンの支払は、財産分与で調整されるべきものである上、自宅のローンを支払っていると言っても、
その分、自宅のローンを支払っている者の名義である不動産の価値を高めているだけである、と言える中、それでも、婚姻費用の支払を受けている側が、
住居費がかからずに生活が出来ている点を考慮しなければ、不公平と言える事情があるかどうか、という観点からの修正であるため、
①、②のような事情がある場合は、逆に、統計上の住居費相当額を婚姻費用の基本月額から差し引くことは、不公平な結果となると言える事によります。

また、本件では、私学費用や塾代について、特別の経費として、婚姻費用の基本月額に加算できるか否かが問題となりました。
この点については、相手方が高収入である事や双方の学歴を踏まえて、相手方が負担を行わないのは相当とは言えない旨、裁判所は判断しました。
考え方としては、私学費用については、婚姻費用の基本月額に考慮されている学校教育費を上回る部分について、夫婦で2分の1ずつ負担することとし、
塾代については、全額を夫婦で2分の1ずつ負担すべきと裁判所は判断しています(塾代は、統計上の学校教育費とは別枠の費用と裁判所は考えていることになります。)。

その他、相手方は、子の学資保険の保険料を相手方が支払っている点を婚姻費用の既払い金とすべき旨、主張しましたが、
契約者が相手方であるため、自分の財産の価値を高めているに過ぎないとの当方の主張を裁判所は採用した他、
逆に、当方が相手方の利用する相手方名義の自動車の自動車税の支払を行った点について、相手方は、離婚時の財産分与で調整すべきなどと主張したのに対し、
当方は、自動車税の支払は、自動車の維持のための必要経費であり、定型的なものであることから、電気代等の支払を行っている場合と同様に、婚姻費用で
調整すべき旨、主張したところ、当方の考え方を裁判所は採用しました。

結果、月30万円を超える婚姻費用が審判で認められました。

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164

婚姻費用が一旦、調停で成立していたところ、減額調停を申し立て、当初金額から月約7万円の減額を行う形で調停が成立した事案

相談者
性別:男性
年代:50代
姫路
解決内容

上記の通り、月約7万円の婚姻費用(離婚成立までの間の別居中の生活費)の減額ができました。

結果・所感

当職に依頼される前の時点で、既に当事者間で、婚姻費用の調停が成立していましたが、
その後、相手方が障害基礎年金の受給を行ったり、子が20歳、18歳に達したことなどの
事情の変化が生じたことから、減額の調停を申し立て、相手方の収入資料の開示を求めた上、
20歳に達した子については、特に大学進学等もしておらず、原則自分自身で生活を賄うべきであり、
婚姻費用の対象に含めるべきではないこと、18歳の子についても、留年しており、かつ大学進学等も予定されていないことから、
同様に考えるべきであることを主張したところ、裁判所の心証が開示された上、月額約7万円の減額を行う内容で
調停が成立しました。

ワンポイント解説

一旦、婚姻費用や養育費の調停、審判等で金額が確定した場合、
増減額の請求が認められるには、当初の調停、審判時点では予測出来なかった事情の変更があったことを
主張、立証する必要があります。

本件では、当初調停時には、相手方の収入は僅少なパート収入しかないことを前提に取り決められていたのに対し、
相手方が調停成立後に障害基礎年金の受給を開始したため、大幅な収入増が認められることや、
当初調停時には子らが未成年であることから扶養義務があることを前提に婚姻費用が定められていたのに対し、
その後、子が各自20歳、18歳に達し、大学等に進学していない等の事情が生じているため、
これらが「事情の変更」に該当する旨、主張しました。

相手方は、子らについても扶養義務を認めるべきである旨、主張しましたが、20歳の子については対象外とし、
18歳の子についても留年の1年間経過後は同じく対象外と見る旨、心証を開示し、結論として前述の通り、
月額約7万円の婚姻費用減額を行う内容で調停が成立しました。

相手方が離婚自体は拒絶している場合などは、相手方に不貞行為や暴行などが認められる事案でない場合は、
ある程度の別居期間となるまでの間、別居を継続し、その間、婚姻費用を支払い続ける必要がありますが、
事情の変更が生じている場合は、本件のように、減額の調停を申し立て、必要な主張、立証を行い、
支払うべき婚姻費用額を適正な金額に修正し負担を軽減することが考えられます。
(更に、進んで、婚姻費用減額と合わせて、早期離婚を成立させる場合に、一定の解決金を支払うなどの
提案を行うこともケースによっては有効となる事も考えられます。)

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162

婚姻継続中に、相手方が、不貞行為を理由に建物明渡請求訴訟を提起してきたものの、必要な反論を行い、裁判官の法的見解が示され、訴えが取り下げられた事案

相談者
性別:女性
年代:40代
姫路
解決内容

相手方が、当方の不貞行為を理由に、相手方名義の不動産からの退去を求めて訴訟提起したのに対し、
当方が必要な反論を行ったところ、裁判官の見解が訴訟内で示され、相手方の訴え取り下げにより
訴訟が終了しました。

結果・所感

上記の通り、相手方が訴えを取り下げ、引き続き当方が自宅に住み続けることができるように
なりました。

ワンポイント解説

相手方は、当方が不貞行為を行ったとして、当方が相手方名義の不動産に住み続けることは、
婚姻関係が継続していたとしても、信義則違反ないし権利濫用等により認められない、などとして
相手方名義の建物からの退去を求めて訴訟提起を行ってきました。

当方は不貞行為の存在自体を否認しており、その点も問題となるのですが(別件の婚姻費用の審判においても、不貞行為の存在が否定されました。)、それ以前の問題として、
本件不動産は、結婚後にローンを組んで購入されたものであり、婚姻中の夫婦の収入から支払がなされたものであり、
夫婦の共有財産であり、登記簿上、相手方単独所有になっていたとしても、夫婦の共有に属し、所有権(共有持ち分権)を有しており、
仮に不貞行為の存在が認められる事案であったとしても、自分の所有物に住んでいることになるため、信義則違反や権利濫用の問題が生じる余地は
ない旨、答弁書で、過去の裁判例なども証拠提出して反論しました。

また、上記の通り考えられるため、不貞行為の存否について主張、証拠の整理を行ったところで、結論に影響しないと考えられることから、
法的見解、解釈に属する事項であるため、裁判官において、早期に、夫婦の共有物であるという事であれば、請求は棄却され、不貞行為の有無が問題と
ならない旨、見解を示していただくことが、訴訟経済に資する旨、進行について意見を述べました。

結果、裁判官から、「夫婦共有財産という事であれば、相手方の単独所有が否定されるため、相手方の請求は棄却されることとなる」旨、
法的見解が示されました。

合わせて、当方から、婚姻費用分担審判において、相手方が当方居住の自宅のローンを支払っていることを踏まえて、当方の収入に応じた統計上の
居住関係費を差し引いて婚姻費用額が定めらていることから、賃料相当額の請求を相手方請求している点にも理由がない旨、主張しました。

結果、相手方は訴えを取り下げ、当該訴訟は終了しました。

確かに、①不動産が婚姻前から夫婦の一方が有していたものであり、かつ、ローン等の支払も婚姻前に終わっているとか、②夫婦の一方がその親から相続した不動産である
などの場合には、夫婦共有財産とは言えないこととなるため、不貞行為が認められるケースにおいては、使用貸借権ないし夫婦の同居義務に基づく居住権を主張することは、
信義則違反ないし権利濫用に判断されると判断される可能性がありますが、夫婦共有財産の場合に当てはまる議論ではない点に注意が必要です(弁護士ですら、この点を誤解していると思われると感じることが時折あります。)。

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161

LINEのやりとりから不貞行為を認定し、また、別途暴行も認定して、減額した婚姻費用を認定した原決定に対し、即時抗告を行い、不貞行為や暴行の存在が否定され、本来の額での請求が高裁で認められた事案。

相談者
性別:女性
年代:40代
姫路
解決内容

婚姻費用分担審判において、第1審が、当方のLINEのやりとりから不貞行為や暴行を認定し、本来の額よりも
減額した金額(子の養育費相当額のみの金額)での請求しか認めなかったのに対し、即時抗告を行い、第2審において、不貞行為や暴行を認定することは
できない旨、判示され、当方本人分の生活費も含めた婚姻費用の請求が認められました。

結果・所感

上記の通り、不貞行為、暴行の認定に問題があったことから、これを不服として即時抗告を行ったところ、
当方の主張が認められ、不貞行為や暴行の存在が否定されました。

ワンポイント解説

婚姻費用(別居中の離婚までの間の生活費)の請求においては、不貞行為や暴力など、別居に至る原因がもっぱら
請求を行う権利者側にある場合、権利濫用ないし信義則違反により、子の養育費部分は別として、自身の生活費部分を含めて
婚姻費用を請求することはできない、と考えるのが離婚実務の通例です。

本件では、相手方は、別の男性との間のLINEや、切り刻まれたとするシャツの写真を証拠として提出し、それぞれ
不貞行為や身体に向けられた暴行があったとして、当方の婚姻費用の請求が権利濫用に当たる旨、主張していました。

1審では、LINEのやりとりが、男女のやり取りであるなどとして、不貞行為の存在を認め、これとは別に、暴行の存在も
認めました。

しかし、当該LINEは、ある1日のみのやり取りであり、実際に会ったり肉体関係をもったことをうかがわせるやり取りなどは
全く含んでいないものであり、当方の主張(弁解)にも符号するものでした。

当方は、この点を指摘し、当方の主張にも符号する証拠であり、また、当方の主張がおよそあり得ないものである等と
排斥できる関係にもないこと(むしろ、一定の具体性、まとまりのある弁解であり、信用性が認められること)、
当該LINEのやり取りが発覚してからも、夫婦関係は数年にわたり継続してきたものであり、当方の当時の説明により
相手方も納得したものであるという当方の主張にも符号すること、実際、調停においても、当初、離婚の原因は暴行の点にある旨、相手方は主張し、不貞行為を理由とは
していなかったことなどから、不貞行為は認められない旨、主張しました。

また、暴行についても、暴行の存在を否認しているにもかかわらず、もっぱら相手方の供述のみで暴行の存在を認めている原審の判断には
根拠が乏しい旨、主張しました。

結果、高等裁判所では、不貞行為、暴行、いずれの存在も否定され、当方本人分の生活費も含めた婚姻費用の請求が認められました。

婚姻費用における不貞行為、暴行の認定と離婚請求における不貞行為、暴行の認定は、別手続であることから、
理論上は必ず同じ結論になる必要はない事ととなりますが、
実際上は、同じ主張、同じ証拠であれば、異なる判断にはしづらくなるものと考えられ、離婚請求の際にも影響を与え得る重要な争点に関する判断であったと言えます。

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157

相手方に不貞行為が存在するところ、月額16万5000円の養育費及び700万円の解決金を得る形で審判離婚(調停に代わる審判)が確定した事案

相談者
性別:女性
年代:30代
姫路
解決内容

相手方に不貞行為が存在する中、養育費として月々16万5000円の支払を受け、
これとは別に、解決金として700万円の支払を受ける内容で離婚審判(調停に代わる審判)が確定しました。

結果・所感

相手方は、当初、不貞行為を否認していましたが、離婚調停の中で、
不貞行為の主張、立証を具体的に行ったところ、不貞行為の存在を認めるに至りました。
その上で、慰謝料及び解決金の額を幾らにするかについて、調整を行ったところ、
相手方は当初、200万円の解決金の提示を行ってきましたが、交渉の結果、700万円の支払を
3回払いの短期間の分割で受ける内容で合意に達しました。
裁判所が遠方のため、調停を成立させるには当事者双方が裁判所に出頭の必要があることから、
調停に代わる審判を裁判官に行っていただき、双方、不服申立権の放棄を行い、確定させる形を取りました。

これに加え、月額16万5000円の養育費の支払を受ける内容とすることができました。

ワンポイント解説

不貞行為を行った側から離婚調停を申し立てた場合、申し立てられた側の対応としては、
離婚の条件として、慰謝料、財産分与はもちろんの事、解決金の支払を求める事が多いかと
思われます。

この点は、離婚する事により、婚姻費用(配偶者の生活費を含んだ生活費)が養育費(子のみの生活費)に下がるという経済的利益を
相手方は受けることとなるところ、離婚を行うには、特に落ち度がない事案では5年程度の別居、離婚を求める側に不貞行為が存在する事案では、
相当長期間の別居(7~10年程度)及び未成熟の子がいないこと(経済的に独立して然るべき年齢(20歳程度)に達していない子がいないこと)が
要件となり、このような長期の年数×(婚姻費用と養育費の差額)分、支出を免れる点を捉えて、解決金を求めることが考えられます。

本件では、不貞行為を相手方が行ったものの、相手方が具体的な解決を示さないことから、離婚調停の申立て自体は、当方から行いました。
ただし、「不貞行為を行ったのは相手方であり、元々、相手方から離婚を求めたところ、相手方が具体的な中身を話さないことから、
やむを得ず、当方から離婚調停を申し立てたものであり、条件が誠意あるものでなければ、取下げを行う考えである」という条件付きでの申立てを
行っております。
不貞行為を受けた側から離婚調停を申し立てるのは不利ではないか、との考え方もありますが、本件では、相手方の不貞行為の確実な証拠があった事から、
どちらにしろ、相手方から離婚訴訟等を起こしてきて、破綻等の主張を行ったとしても、有責配偶者からの離婚請求に当たると判断される見通しであったことから、
上記のような条件付きの離婚調停を当方から申し立ててもリスクが少なく、早急に離婚を成立させたいとの依頼者の方のご意思からすると、相手方からの離婚調停を
待っても、いつになるか分からないことから、条件付きの申立てを当方から行うことをご提案し、そのように進めることとなったものです。

相手方は、当初は、このような解決金を求める法的根拠はない旨、主張していましたが、複数回の協議の結果、700万円の解決金を行う形で
合意に達し、その内容で調停に代わる審判を受け、これを確定させることができました。
(なお、財産分与については、相手方には住宅ローンが存在し、求めても、ほとんどプラスにならないか、むしろマイナスとの見立てを依頼者の方が
行っておられた事から、方針決定の際、財産分与をこちらからは求めない事としております。従って、相手方から金額を確保するには、慰謝料、解決金で支払を受ける
必要があった事案という事になります。)

離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績に基づき、お客様と一緒によりよい解決方法を考えます。

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156

私立高校授業料、通学定期代、諸会費等の加算も含め、月額19万円弱の婚姻費用の支払を受ける形で調停が成立した事案

相談者
性別:女性
年代:50代
姫路
解決内容

子の私立高校の授業料、通学定期代、諸会費などの加算を含め、月額19万円弱の婚姻費用の支払いを受ける形での
調停が成立しました。

結果・所感

当方の請求通り、裁判所も支払の必要性を認め、相手方もこれに応じて、婚姻費用分担調停が成立しました。
調停成立までの間の未払婚姻費用も、一括で支払を受ける内容となりました。

月額19万円弱の婚姻費用を月々、確保できた事により、本体の離婚調停についても、焦らず時間をかけて解決できる事となり、
また、相手方にも、経済的負担がかかる事から、早期に条件を整えて、離婚を成立させる動機が働くこととなり、
婚姻費用にとどまらず、離婚の条件交渉においても有利な立場に立つ事ができたと言えます。

ワンポイント解説

本件は、私立高校の学費による加算が問題となった事案です。

公立高校と異なり、私立高校の授業料等は高額に及ぶことから、離婚成立までの間の婚姻費用の分担請求において、
夫婦双方の収入、子の数、年齢に基づく、いわゆる算定表による基本月額に加えて、加算を求めることができるかが
問題となります。

本件では、別居開始前から私立高校に通学していたので、相手方が私立高校への進学を了承していた事が
推認できる関係にありました。

また、学費加算を求める場合、授業料以外の費用の加算が認められるかが問題となりますが、合理的な経路による電車、バス等の通学費用は
加算の対象に含まれるものと考えられますし、諸会費等、学校に在籍する事により当然に発生する費用なども加算の対象に含まれるものと
考えられ、本件も同様の解決を図ることができました。

なお、学費加算が認められる場合でも、全額の負担を相手に求めることができる訳ではなく、
算定表に考慮済みである、公立高校(ないし公立中学)の年間標準額費を上回る部分を、夫婦双方の収入で按分した額の加算となります。

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